恋に目覚めたシンデレラ
「この絵は俺も好きなんですよ。少女の表情がとても豊かでとても惹き付けられます」
「私もこの絵の少女が微笑んでいるのが凄く素敵だなと思います」
この人もこの絵が好きなんだ。
そう聞くと確かに親近感がわいてきたような気もする。
「あなたはとは気が合いそうです。一緒に廻りませんか?私とでは嫌ですか?」
親近感はわいたし気が合いそうとも思ったでもこの人の事はよく知らない。
やっぱり断ろう
気を悪くしないといいけど。
「誘って貰えるのはありがたいんですけど……やっぱり」
「では、一緒に廻ってくれますか?」
話しは最後まで聞いてほしい。
「あの……お断り」
「廻って貰えますよね?良かったです」
お断りしますと言いたかったのに最後まで言えずに……。
一緒に廻る事になってしまった。
このあと、この男性は本当に丁寧に展示物の説明をしながら案内してくれた。
「あの、今日は案内してくれてありがとうございました」
「いつもは一人で見て廻るのですがたまには他の誰かと見るのもいいものですね」
葵も同感だと思った。
ここへ来るときはいつも一人だし、誰かと一緒より自分のペースでじっくり見て廻る方が好き。
でもこの男性と一緒に館内を見て廻っている間、嫌な気分はしなかったし説明も解りやすくて今までとは違う見方ができて良かったとさえ思えた。
美術館を出ると入り口に一台の車が横付けにされていて運転手が降りて来た。
「一緒に乗っていきませんか?」
車でお出迎え、しかも運転手がドアを開けて待っている。