恋に目覚めたシンデレラ
昨日の気恥ずかしさがよみがえってしまい狼狽える葵に三枝は昨日の事など何も見ていなかったかのように、いつもと変わらず「おはようございます。どうぞ」と後部座席側のドアを開けてくれた。
「さ、三枝さん……おはよう……ございます。お願いします……」
気にしているのは私だけ……。
三枝はプロだから昨日のような事には慣れているのだろうか。
もしかしたら三枝がキスの現場を見たのは昨日が初めてじゃないかもしれない。
晃は何回かお見合いをしていたと言っていた。
その女性達もこの車に乗せて貰い昨日の私みたいにキスを……。
したくもない妄想までしてしまい葵の中である感情が芽生えてしまった。
「葵さん、どうかしましたか?」
「何がですか?」
「思いつめているような……そんな顔をしています。何を考えていたんですか?」
「何も、ただぼんやりしていただけなんです」
「ホントに?」
「本当です。何も……」
「そうですか……」
いつもの場所で車は止まり降りた。