私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「永井くんは、どこかの門下生?」

「…隣の道場」

「あぁ、おじいちゃんが張り合ってるところか…」

「仲良くすると爺さんに怒られるんじゃないか?」

「どうだろ。私門下生じゃないし、いいんじゃない?」

 宮田は何でもない風に言って、俺の隣を、俺の歩幅に合わせて歩く。

 まるで何でもないように男の俺に合わせて歩く。

「そう言えばさ、宮田道場に強い奴いなかったっけ」

 あんまり覚えてないみたいな素振りで、結構根に持ってる奴のことを聞く。

 数年前、道場同士の試合で簡単に負かされた。

 多分同級くらいだった。

 そいつの顔を見ることはできなかったけど、ありえないくらい強くて、相手の気に飲まれて動けなかった。

 あんなの初めてだった。

 あれ以来、そいつに勝つために修練を重ねたけど、あれ以来一度だってそいつと再戦することも見かけることもなかった。
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