With you.
「ところで、歌上手いですね。」

私がそういうと、照れたような、悲しいような顔をしていた。

「どうして弾き語りを?」
と、私が問うと、彼は真っ直ぐな瞳を私に向けた。

「俺の親、歌手なんです。それで、歌を歌っても親の七光りだとか言われて。
俺は俺が音楽をやりたいからやっているのに、認めてもらえなくて。
だから、俺はここで弾き語りをしてるんです。俺の居場所はここだけなんです。」

そんな事があるとも知らずに、私は軽率な質問をしてしまったと後悔した。

「すみません、、、」

「いえ!貴方か謝る必要なんてないですよ!今日、楽しかったし!!!」

そういって笑う彼が誇らしく、輝いて見えた。
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