若の瞳が桜に染まる
でも我久はしっかりと言葉の端を掴む。

「おいでよ。ちゃんと受け止めるから」

不安な表情から、華やいだ優しい微笑みに変わる。

その自分だけに向けられた笑みに、我久はより一層強く幸せを意識する。

日和に出会ってから、我久は少しずつ強くなっていった。優しさだけではない真っ直ぐな芯の通った強さを身に付けていた。彼女を守るために。

「我久…

…好き」

聞こえてきたその言葉を胸に留めるように、日和を抱きしめた。

もう、二人の間にそれ以上の言葉は必要なかった。

思いを確かめ合った二人の関係は大きく前進した。

結婚に必要な段階を一つずつクリアしていく。本当の夫婦となる為に。
< 171 / 306 >

この作品をシェア

pagetop