無機質な恋模様
そしてここじゃなく、二人の所属する部署内に居る時も、なんやかんやと一緒に仕事をこなしているのだろう。

とにかく僕との関わり自体は大分減ったので、心底ホッとしていた。

だって、僕はコイツの事は、前々からすこぶる気に入らなかったから。

目付きが鋭くてとんでもなく無愛想で、しかも背が大きいから、すんごく上から見下ろされる格好になって、威圧感が半端ないし。

僕を起こす時も挨拶なんかした事なくて、手つきも雑で乱暴で、はっきりいってコイツに触られるのは心底嫌だったんだよね。

だけど今は。

佐々木より30センチ近く背が低く、華奢でコンパクトでゆったりほんわかしてて、とっても慎重に僕を扱ってくれる真奈美ちゃんが担当になってくれたから、ホントに幸せを感じている。


……その思いと反比例して、佐々木の事はますます嫌いになって行ったけどね。


「え、えと、この子って、給紙部分の両側にバーがくっついてるじゃないですか」

真奈美ちゃんは慌てふためきながらも、佐々木に解説してあげていた。

別にこんな奴、無視してやれば良いのに。


「カタカタ左右に動いて、出て来る紙の位置を整えてくれて、まるでお手々みたいだな~と思ってたんです。とっても可愛いし、すっごくお利口ですよね!」
「そういう風にプログラミングされてるだけだろ」

しかし佐々木はそのファンシーな感想をバッサリと切り捨てた。
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