イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
部長の車に乗せられ、詳しく教えてもらえないまま連れて来られたのは、会社から小一時間もかかる市外の住宅街だった。
しかも、「ここだ」と言って彼が車を停めたのは、明らかに一軒の家の前。私の実家よりも大きく見え、オフホワイトの外壁とレンガタイルがお洒落な、洋風の豪邸だ。
周りを見ても綺麗な住宅ばかりで、施設があるようには思えない。
「本当にここなんですか?」
道の脇に路駐させた車から下り、半信半疑で部長を見上げると、彼はしっかりと頷く。
「あぁ、施設長の家だ」
「えぇっ!?」
私の驚きの声が、今度は夜の住宅街に響き渡った。
普通、自宅でなんて会わないでしょう!? 時間ももう七時半を過ぎているし、特別な接待とかでなければ、こんな状況はおかしいのでは……。
疑問と困惑が渦巻く私はさておき、部長は何のためらいもなく、黒い鋳物門扉の横の門柱に付けられたインターホンを鳴らす。
その下にある表札に、何気なく目をやった私は思わず二度見してしまった。
「さ……坂本?」
うそ、施設長も同じ苗字なの? そんなに多いのか、坂本さんは!
いろいろとびっくりで口を半開きにする私は、インターホン越しに聞こえてきた声でさらに驚愕する。