ゆえん


一人暮らしを始めたのも、『You‐en』に毎日通うようになってからだ。

一人娘の行動に呆れながらも、まだ愛情を注いでくれている両親は、再び家を出ていく私を見て少し寂しそうに黙っていた。

親の望むようになれなかったことは悪いと思っている。

菜穂に裏切られることがなかったら、もう少しマシな娘になれたかもしれないけれど、どうしようもなかった。

修ちゃんを探し出すことだけに執着していた十年間は、お金を稼ぐためにキャバ嬢をやったりもしてきた。

目的はただ一つだったから、その為には親の期待などどうでも良かったから。

< 197 / 282 >

この作品をシェア

pagetop