ゆえん


翌朝、私は冬真さんより早く起きて、早速昨日調べてみたスープを作ってみることにした。

幸い冷蔵庫に一通り必要な材料があった。

勝手に使っては失礼かなと思いつつ、冬真さんはそんな小さなことで怒ったりする人ではないと確信に近いものがあった。

作りたくてウズウズしていた。

両手鍋に湯を沸かし、ナスとベーコンと玉ねぎとトマトをそれぞれ賽の目に切る。

フライパンにオリーブオイルを入れて軽く炒め、調味料と一緒に両手鍋に入れてみた。


背後で音がしたので振り返ってみると、目を擦りながらマユがこちらに歩いてきた。

私は火を弱火にしてマユのほうに行き「おはよう」と声を掛けた。


「マユ、おしっこいきたい」


私は火を止めてからマユの手を引き、彼女をトイレに連れて行った。

そして部屋でマユに着替えをさせてキッチンに戻ってくると、鍋の前に冬真さんが立っていた。

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