キミのコドウがきこえる。
「漁って。すごい、アクティブだね」
「俺の中では、音羽って言ったら美味しい海の幸ってイメージだったからさ。それに魚好きだし」
「地域おこし協力隊の仕事は、その間どうしてたの?」
「ああ。その漁に出るってこと自体が仕事みたいなものだから。音羽を身をもって知るって感じかな」
「ふうん。なるほどね」
「漁にも出つつ、定期的に全国の地域おこし協力隊の成功例を見に視察に行ったり、音羽町のいいところ発見のホームページ作ったり……そんな感じで一年過ごしてさ。それで二年目なにしようって思った時に!」
翔太はそう言って、持っていた枝豆をピシッと私に向けてにっこり微笑んだ。
「大太鼓やりたいなって思ったんだ」
「そ、そうなんだ……」
私は、なんだか気まずくなって目を翔太から逸らし、テーブルの上に置いてあったジョッキを持つと顔を隠すようにしてジョッキを傾け、ビールを一口、二口と飲み続けた。
「俺さ、お盆の時に開かれる音羽の花火大会あるじゃん?その時に花火と一緒に音羽の大太鼓も共演したいと思ってるんだ。一人で叩いてもいいなとも思ったんだけどさ、俺、やっぱりナルと叩きたいなと思って。……あの時のリベンジ。だから、一緒に太鼓叩かない?もちろん、ナルは仕事もあるし、無理はさせないつもりでいるけど。俺が10叩くとしたら、ナルは1叩くくらいでいいからさ。どう?」
翔太はとても必死で、その必死さからか、翔太が私に向けた枝豆が、だんだん近くなってきて、私の鼻先に当たりそうになった。