キミのコドウがきこえる。
翔太の隣に並んで立って表情を覗き込むと同時に、翔太は大きなあくびをした。
「寝てないの?」
「うん……イベントのチラシ作りしてたら煮詰まっちゃって寝たの3時くらい」
「え!?そういうのは言ってよ。チラシ作りくらいなら私出来るよ?一応ついこの間までは広告会社に勤めてたんだし」
「え?そうなの?じゃあ……頼んでもいい?」
「もちろん。データある?今貰えたら家帰って作っちゃうから」
「助かる。ナルのパソコンってネット繋がってる?」
「うん」
「それじゃあ、データだけ職場のパソコンから送るから」
そう言って翔太は、スーツの胸ポケットから名刺入れを取り出し中から名刺を取り出すと、私にすっと差し出した。
「これ。ここに載ってるの職場のパソコンの俺専用のアドレスだから、ここにメール送ってくれる?」
翔太は差し出された名刺の一番下に小さく書かれたアドレスを、人差し指でトントンと指し示した。
「オッケ」
名刺を受け取って振り返って家に帰ろうと歩みを進めた時「あっ」と言う何か思い出したような翔太の声が聞こえて振り返った。