キミのコドウがきこえる。

翔太の隣に並んで立って表情を覗き込むと同時に、翔太は大きなあくびをした。



「寝てないの?」



「うん……イベントのチラシ作りしてたら煮詰まっちゃって寝たの3時くらい」



「え!?そういうのは言ってよ。チラシ作りくらいなら私出来るよ?一応ついこの間までは広告会社に勤めてたんだし」



「え?そうなの?じゃあ……頼んでもいい?」



「もちろん。データある?今貰えたら家帰って作っちゃうから」



「助かる。ナルのパソコンってネット繋がってる?」



「うん」



「それじゃあ、データだけ職場のパソコンから送るから」



そう言って翔太は、スーツの胸ポケットから名刺入れを取り出し中から名刺を取り出すと、私にすっと差し出した。



「これ。ここに載ってるの職場のパソコンの俺専用のアドレスだから、ここにメール送ってくれる?」



翔太は差し出された名刺の一番下に小さく書かれたアドレスを、人差し指でトントンと指し示した。



「オッケ」



名刺を受け取って振り返って家に帰ろうと歩みを進めた時「あっ」と言う何か思い出したような翔太の声が聞こえて振り返った。

< 71 / 73 >

この作品をシェア

pagetop