なみだ雨
でも、行くなと言えなくて。
インフルエンザにかかったことはないが
とても辛いと聞く。
1人で治していくにも限界がある。
だから俺は、
わかりました、の、意味を込めて
強く頷いた。
朝。
いい匂いがして目が覚めた。
立ち上がってキッチンを見る。
「あ、おはようございます」
はるかは、
少し離れたところに立っている
練に、微笑む。
おはようございます。と返すと、
翔太がむくりと起き上がる。
「あれ、おはよ。あれ?あれ!あ!何時いま!何時!練!!何時!?」
翔太の脳みそが寝起き5分で覚醒する。
「もうすぐ8時」
「やっちまった…」
翔太はコートと携帯を持つとそのまま
靴を履いてさっさと家を出ていった。
取り残された2人はお互い見つめ合うと
ふふふっと微笑んだ。
「お世話になりました」
味噌汁を持ってはるかは言う。
練ははるかと目を合わすことなく頷く。
なんとなく重苦しい空気。
「送りますよ」
練は、そう言うと最後の一口を飲み込む。
有無を言わせないような、空気。
食器と箸がぶつかる音が響く。
「おねがいします」
呟くように答えると、はるかは
きゅうりの浅漬けをばりばりと噛んだ。