なみだ雨
物音は外にまで聞こえなかった。
本当に看病しているのだろう、
練はギアをDに入れ、
車を発進させる。
近くの小学校のチャイムが聞こえる。
信号待ちで、練は窓を開けた。
母親が娘を後ろに乗せて
自転車を漕いでいる姿。
これから、迎えに行くだろう幼稚園のバス。
携帯を片手に
信号待ちしてるサラリーマン。
どれも何気ない日常で、
自分もこの世界で生きている。
でもはるかはどうだろうか。
もっと
別の世界で生きているのではないか。
車を走らせると、
翔太が交番の中でこっぴどく
怒られている姿を見つける。
いつもなら笑えるのに、
いまはとてもじゃないが笑えない。