なみだ雨
彼女ができたのだろうか。
"成海"とは、彼女なのだろうか。
もやもやもやもやする。
胸の中に一本の糸がぐちゃぐちゃに
絡まっているような。
はるかはふと手を止めて、
さっきまで練が座っていた場所を見る。
ため息をついて、水を止めた。
他の女性の名前を呼ぶのが許せなかった。
わたしのことは名字にさん付けで、
なのに下の名前の呼び捨てで。
彼女なら当たり前のことが、
いまのわたしにはとても苦しい。