なみだ雨
「練つぎいつ休みなの?出かけない?デートしようよ〜」
脱衣場の扉の向こうで成海は
問いかける。
「…しばらくない」
ガシガシと頭を拭いていた手を止めて、
少しぶっきらぼうに答えた。
一瞬の間が気になって、と同時に後悔する。
「…ごめん、成海、本当になくて」
申し訳なさいっぱいで、
くもりガラスにうつる人影を
見つめて呟く。
ううん、
成海がそう、つとめて明るく答える。
「来週辺りにはゆっくり休みとれると思う。行きたいところ考えといて」
いきなりがらりと脱衣場の引き戸が開く。
タオルで隠すべきところを急いで隠す。
「練、ありがとう」