美月~大切なあなたへ~
「…………で?」


『え?』


「だからぁ!!それからどうなったの?」


『“どうなった”って……どうも?』


「気まずくなったりとかはナシ?」


『ナシ。』



今は依然として女子トイレ。



みっちゃんに昨日の浜本とのことを報告中。



みっちゃんはなぜか溜め息をついている。



「…浜本は、美緒ちの好きな人が誰か、訊いてこなかったの?」


『うん。いるかいないかだけ。』


「で、いるって言っちゃったわけか…。」


『うん、まぁ…〃〃』



浜本に訊かれたとき、日明先生の笑顔と声が、一瞬だけど思い浮かんだ。



ぼんやりとした恋心が、ハッキリした瞬間だった。



改めて、照れる………




「そんな乙女の顔してる場合じゃないの!!」


『え!?』



みっちゃんが、イキナリ訳の分からない事を言いながら、私の肩を掴んで恐い顔をした。



え……ちょっと…マジ恐いよ?


未来ちゃん?女の子でしょ?



「美緒ち………浜本は絶っっっ対、美緒ちの好きな人分かってるよ。」


『ぇえ!?なんで!?』


「多分、ハッキリ確信したのは昨日だね。
美緒ちが好きな人いるって言った時。
でも、前からなんとなくは気付いてただろうね。」




その時、浜本の言った“フられるって分かってた”って言葉を思い出した。



だからかぁ……



『浜本って、実はそういうの敏感な人だったんだぁ…。』


「違うって!!好きだからでしょ?
好きな人のそういうのって、敏感になるものだって!」



“好きだからでしょ?”





そっか…。


“好きだから”か…。





「でも、浜本なら、分かってても誰かに言いふらしたりしないよね。
心配ないかぁ。」



みっちゃん、そのこと気にしてたのか。



本当にいい友達持ったなぁ…私…。幸せものだぁ。









あ!!そういえば!!








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