ご褒美は唇にちょうだい
「新人の演技に私が引きずられるわけないでしょ」


「そうですね。すみませんでした」


「私は私の仕事をするだけ」


時間がきた。操は立ち上がり、着物の裾をさばいてドアへ向かう。
勇ましい姿だ、うちのお姫様は。


「久さん」


「なんですか」


「初日だから、見てて」


「あなたが望むなら」


操の口の端がわずかに緩む。

そういう隙のある表情、他の男に見せるなよ。
心の中だけで言った。



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