ご褒美は唇にちょうだい
「こんにちは、存じ上げております。鳥飼のマネージャーで真木久臣と申します」


俺も大概愛想がいい方ではないので、言葉は親しげには響かない。
小鍛冶は俺と同じく操を視界に映して言う。


「俺、鳥飼さんの子役時代からのファンなんです。年も2個下で近いし、すごく憧れてて。今回は相手役ができて本当に嬉しいんです」


小鍛冶奏の役どころは、主人公“美登利”と恋に落ち、最初の結婚相手となる“田宮政助”。
早逝してしまうが、“美登利”の創作の根元になる大事な役だ。


「それは光栄です。こちらもありがたいです。ノリに乗っている小鍛冶さんの演技は鳥飼の刺激になると思いますので」


リップサービスを交えて答える。
正直に言って、まだ小鍛冶奏は有象無象の若手俳優となんら変わらない。


「で、真木さんにご相談なんですが」


口調をからっと明るく変えて、小鍛冶は言った。
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