ご褒美は唇にちょうだい
「失礼しました。髪に何かついているように見えたので」


本当のことだったけれど、俺の接触にまたしても期待してしまった様子の操が、恥じ入って下を向く。
俺の手を避け、自分で髪を探るとティッシュペーパーの欠片をとりあげた。


「メイク落とした時にくっついたんだわ」


俺はゴミを受け取り、手近な屑籠に入れた。
再び、背を向け廊下を歩きだす。


「金曜ドラマの方、明日はロケですね」


操が小さく、うんと答えた。





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