ご褒美は唇にちょうだい
「お姉ちゃんこそどうなの?」


どうなのとは恋愛のことで、環は私の方が華やかな業界にいる分、恋愛チャンスが多いと思っている。
両親もそう考えているようで、たまに妙な男と付き合っていないかと、環を偵察によこすのだ。

こっちは、そんな機会、一度だってない。
誰かと恋愛なんか、余地がない。時間も、立場も、……気持ちも。


「今度の朝ドラ、小鍛冶奏と共演でしょ?あの人、私とタメだよね。めっちゃかっこよくない?」


「ああ、うん。今日から撮影一緒」


「どう?やっぱナマはイケメン?」


環がずずいと顔を出してくる。私は曖昧に笑った。


「演技は上手いよ。カメラ回ると、すっごい華があるってわかる」


「ビジネスライクな返答やめてよ。男子としてどうか聞いてるの」


男子として?食事に誘われて断ったけれど。

そんなことを言っても、楽しくはならないのでやめる。


「かっこいいんじゃない?」


「興味なさそう。他人事感半端ない」


環にじとっと睨まれ、私は居心地悪く座り直す。
< 77 / 190 >

この作品をシェア

pagetop