ご褒美は唇にちょうだい
「頼る」


私のささやくような懇願は久さんに伝わっているはず。
久さんが常と変わらぬ平坦な声で言う。


「俺のボスはあなたです。はっきりと命令してくれて構いません」


「今夜、練習するから付き合ってちょうだい」


「わかりました」


私は久さんに背を向けたまま、楽屋へと歩き続けた。





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