ご褒美は唇にちょうだい
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その夜の帰宅は22時半。
部屋に着くと、私は電気をつけ、まず冷蔵庫のペリエを出してきた。
「飲む?」
グラスを掲げて見せると久さんは頷いた。
「いただきます。操さん、お腹は空いていませんか?」
「大丈夫……撮影の合間に少し食べたから」
嘘だけど。こんなに緊張していて、お腹に何も入るわけがない。
ガス入りのペリエをごくんと嚥下するのも、苦しいほど。
久さんにグラスを手渡すと、ペリエをしまうため、キッチンに戻った。
キッチンカウンターを挟んで、久さんと見つめ合う。
いつまでも引き止めておくわけにもいかない。明日も仕事だ。
私はグラスを流しにことんと置く。
「シャワー浴びてくる」
言いながら、緊張で死にそう。
寝室で衣類をかき集めバスルームへ向かった。