抜き差しならない社長の事情 【完】
第二章 女の知恵は後へ回る
「急ぎのお仕事があるみたいでしたよぉ」
と首を傾げた曄は――
『今日はこれからハッピーさんの歓迎会ですよ?
社長は、行かないんですか?』
(社長秘書の元木曄は、紫月と相原の二人をセットで言う時は
”ハッピーさん”と言うことにしているらしい)
『行かない』
『一次会はすぐ近くの居酒屋月たぬきで、
二次会はその隣のカラオケボックスですから、もし来れそうな時はよろしくお願いしますねぇ』
「って、感じでぇ」
と、身振り手振りでその時の様子を再現してみせた。