抜き差しならない社長の事情 【完】
「あはは お上手」
クスクス
「紫月 大丈夫だったか?」
「課長?」
「酔っ払いに絡まれてたって聞いたから」
「ああ 大丈夫です!」
「相原さん、僕が夢野さんとずっと一緒にいるようにしますからもう大丈夫ですよ」
「そっか、じゃ安心だな 紫月、専務から離れるんじゃないぞ」
「はーい」
クスクス
自分を無視した蒼太が、曄のことはしっかりと助けた。
その事実は、グサリと奥深く
紫月の心を傷つけていた。
でも……
―― 誰も気づいていないわけじゃなかった……
紫月にとって、それがどれほどうれしかったか。
「え? 着付けも自分で出来るんですか! いやー本当にすごいなぁ」
その場に崩れ泣き出してしまいそうな気持ちを、紫月は必死になって笑顔に変えた。
「いえいえ、着物が好きなだけですよ」