冷酷上司の甘いささやき
と、わかりやすく説明してくれた。私がわかりづらそうにしてたのに気づいてそうやって説明してくれたのかな……。やっぱり、意外にやさしい人なのかもしれない。
電車に乗りこむと、とくに混んではいなかったので、ふたりで空いている席に並んで座る。
電車に揺られている間は、私と課長との間に特になにも会話はなかった。でも、それもべつに気まずいとは思わなかったし、嫌じゃなかった。
駅に到着すると、いっしょに電車を降り、
「じゃ、ここで。家までは送ってかなくて大丈夫だよな?」
駅の改札を出たところで、課長にそう言われる。
「はい、大丈夫です。家近いですし」
「気をつけて帰れよ」
「はい」
「あと、今日はありがとう。日野には明日、俺から言っとくから」
「え?」
ありがとうって言われたのはやっぱりうれしいけど……え、日野さんに言うって、なに?
「あ、あの、言うってなにをですか? まさか……」
「戸田に仕事押しつけて自分だけ帰るなって。今日は言えなかったから」
「い、いいです! 言わないでください!」
私は思わず大きな声を出してしまった。
課長は、課長にしては珍しく少しだけ驚いたような顔を私に見せた。
電車に乗りこむと、とくに混んではいなかったので、ふたりで空いている席に並んで座る。
電車に揺られている間は、私と課長との間に特になにも会話はなかった。でも、それもべつに気まずいとは思わなかったし、嫌じゃなかった。
駅に到着すると、いっしょに電車を降り、
「じゃ、ここで。家までは送ってかなくて大丈夫だよな?」
駅の改札を出たところで、課長にそう言われる。
「はい、大丈夫です。家近いですし」
「気をつけて帰れよ」
「はい」
「あと、今日はありがとう。日野には明日、俺から言っとくから」
「え?」
ありがとうって言われたのはやっぱりうれしいけど……え、日野さんに言うって、なに?
「あ、あの、言うってなにをですか? まさか……」
「戸田に仕事押しつけて自分だけ帰るなって。今日は言えなかったから」
「い、いいです! 言わないでください!」
私は思わず大きな声を出してしまった。
課長は、課長にしては珍しく少しだけ驚いたような顔を私に見せた。