冷酷上司の甘いささやき
初めての感情
あ~……どうしよう、なんか緊張する。



昨日、課長とお付き合いをすることになったわけだけど、どんな顔して課長に会えばいいんだろう。



昨日の夜はそこまで考えていなかったけど、今朝起きてから急にそのことで頭がいっぱいになった。
通勤途中の電車の中でも、駅を降りて職場に着くまでも、ずっと考えていたけど、どうすればいいのかわからないまま職場に着いてしまった。
着替えも終えた。
いつまでも営業室前の廊下でこんなふうにうろうろしているわけにはいかない。誰か来ちゃうし。



昨日は、あのあとはとくになにもなかった。
今まではお互いに緊急連絡用の電話番号しか知らなかったから、LINEは交換したけど。
でも『お休み』のメッセージも来なかったし。来なかったから私も送らなかったし。


だから、今日もいつも通り接すればいいんだと思う。

恋愛のことでこんなに悩むのは、私らしくない。
課長は、”実はひとり好き”っていう素の私を好きになってくれたんだから、私は私らしくしてればいいんだと思う。いや、『好き』とはまだ言われていないけど……。



よーし、いつも通りの私でいくぞー! と、意気込んで営業室のドアノブをつかみ、勢いよく戸を開ける。



「お、おはようございます……っ」

「あ、戸田さんおはようございますー」

営業室に入ると、入り口のすぐそばにある観葉植物に日野さんが水やりをしていた。
辺りに課長の姿はない。よかった、とちょっとひと安心する。
私は私らしくいればいい、なんてさっき思ったばっかりだけど……。
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