冷酷上司の甘いささやき
そういう会話をしながら、車で走ること約四十五分後。
車は、広い道沿いに位置している、とある公園に到着した。


一度公園の横を通り過ぎ、近くの市営駐車場に車を停めて、そこから公園までの道をふたりで歩いてきた。



公園に足を踏み入れると、辺り一面、とてもキレイな桜が満開だった。



「すごい、キレイ……!」

「ここの公園、知ってた?」

「あ、この時期は結構有名ですよね。桜の木がいっぱいあって、ほんとにキレイだって」

「なんだ、やっぱ知ってたか。知らない場所だったらもっと感動があったかな」

「いえ! 知っていただけで、来たことはなかったんです! ご存知の通り、出不精なもので。だけどほんとに、一度来てみたいとも思っていたんです!」

「なら良かった。俺は去年、たまたま友だちと来たんだけど。キレイだったから、今年も来たいと思って」


去年見た桜を、今年は私と共有したいと思ってくれたんだ、ということがとてもうれしかった。


休日の有名な公園だけあって、私たち以外にもたくさんの人たちが桜を見にやってきていた。
大きな桜の木がずらりと並ぶ広さのある公園だから、たくさんの人たちが集まっても窮屈さはまったく感じない。
家族連れで見にきている人が一番多いかな。小さい子が楽しそうにはしゃいでいるのを見るとほほえましくなる。



「あ、そうだ。写メ撮ろっと」

キレイな桜たちをフォルダに収めようと、私はショルダーバッグの中から携帯を取り出す。
そして、頭上で咲き誇る桜を撮るため、携帯のカメラを目線より高い位置で構えると。
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