冷酷上司の甘いささやき
お店の入口で、幹事の男性社員の方の名前を店員さんに告げると、奥の大きなお座敷に通された。
すでに何人かは集まっていて、部屋の端から端までの長テーブルの前に各自座るようになっていた。
席順はくじびきで、自分の引いたくじに書かれている番号と同じ番号の紙が置かれているテーブルに座った。
日野さんと席が近かったのはうれしかったけど、そのあとで到着した課長とは、だいぶ離れてしまった。
阿部さんは今日の主役なので、テーブルの真ん中に座っていた。私からは遠いけど、課長とはわりと近かった。また、胸がざわついてしまう。
とはいえ。
飲み会だし、しばらくすれば席順なんて関係なかった。しばらくすると、みんな席を立って、お酌したり、仲のいい人と話をしたりと、最初に決めた席はもはや関係なくなった。
その空気に便乗して、私もビール瓶を持ち、みなさんにお酌するていでじわじわと課長のいる方へと近づいていった。
しかも、さっきまでは阿部さんが課長にべったりだったけど、今は阿部さんはトイレに行ったようで席を外している。チャンスだ!
「お、お疲れ様です」
ほかの男性社員の方々にお酌をしている流れで、私は課長のとなりの座布団に腰をおろした。我ながら、かなり自然な流れだと思う! 怪しむ人なんているわけない!
「お疲れ」
課長も、私を見て小さくにこって笑ってくれて、胸がきゅんとした。課長の笑顔はやっぱりときめいてしまう。
……でも、私には見せない笑顔をここしばらく阿部さんに見せているのも事実で。
だけど、せっかくの飲み会だし、なにより久しぶりに課長とふたりで話せるんだ。今は、阿部さんとのことを聞くのはやめて、楽しくお話しようと思った。
すでに何人かは集まっていて、部屋の端から端までの長テーブルの前に各自座るようになっていた。
席順はくじびきで、自分の引いたくじに書かれている番号と同じ番号の紙が置かれているテーブルに座った。
日野さんと席が近かったのはうれしかったけど、そのあとで到着した課長とは、だいぶ離れてしまった。
阿部さんは今日の主役なので、テーブルの真ん中に座っていた。私からは遠いけど、課長とはわりと近かった。また、胸がざわついてしまう。
とはいえ。
飲み会だし、しばらくすれば席順なんて関係なかった。しばらくすると、みんな席を立って、お酌したり、仲のいい人と話をしたりと、最初に決めた席はもはや関係なくなった。
その空気に便乗して、私もビール瓶を持ち、みなさんにお酌するていでじわじわと課長のいる方へと近づいていった。
しかも、さっきまでは阿部さんが課長にべったりだったけど、今は阿部さんはトイレに行ったようで席を外している。チャンスだ!
「お、お疲れ様です」
ほかの男性社員の方々にお酌をしている流れで、私は課長のとなりの座布団に腰をおろした。我ながら、かなり自然な流れだと思う! 怪しむ人なんているわけない!
「お疲れ」
課長も、私を見て小さくにこって笑ってくれて、胸がきゅんとした。課長の笑顔はやっぱりときめいてしまう。
……でも、私には見せない笑顔をここしばらく阿部さんに見せているのも事実で。
だけど、せっかくの飲み会だし、なにより久しぶりに課長とふたりで話せるんだ。今は、阿部さんとのことを聞くのはやめて、楽しくお話しようと思った。