Live as if you will die tomorrow
「燈真くんでしょう?」




念を押すように、問われ。




ー振り向くな。

そう、警告が発されている。


それがなくとも、この身体は動かし方さえ忘れて、まるで心と別々になったように、感覚がなかった。


細いヒールが、控え目に音を立てて近付いてくる。



ー何、びびってんだよ。



ふと、聴こえてくる中の声。



ーお前は、もう、空っぽになったろ?



ならー



何も気にしなくていいだろう?




「ーアナタ、誰?」



言うのと同時に、掴まれた腕を払いー





「俺はアナタのこと、知らないんだけど?」


どっかの母親譲りの、笑ってるような顔で、あの頃よりずっと、小さくなった女を見下ろした。



「燈…真…君…」



相変わらず短い襟足は寒そうで。


いつも笑っていた顔には。



今は大粒の涙が、幾つも伝っている。




「燈真くん…会いたくなかったよね…ごめんなさい…わた、私知らなくて…どうして二人が居なくなってしまったのか…今でも、わからないんだけど…私は、、会いたくて…どうしても…葉月ちゃんとも…」




でも、ここは、薄暗くて、はっきりとは見えない。


それで、いいんだ。




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