Live as if you will die tomorrow
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「あいつさぁ、ちょっとヤバイよ」
崇がそんなことを言い出したのは、空生と言葉を交わした夜から数日後の事だった。
夕方の開店前の隙間時間。
スタッフルームは煙が充満している。
今日は葉月も小学校のクラブ活動で遅くなるらしく、ルナに居るのは、俺と崇の二人だけ。
「あいつって…?」
薄々感づいてはいたが、あえて知らんふりを決め込みながら、テレビの電源を入れた。
「アオだよ、ア、オ」
「そう?」
予想通りの人物に、俺はとぼけ続ける。
画面の中では、刑事物のドラマの再放送が流れていた。
興味が無いので、コロコロとチャンネルを回し、結局電源を切った。
「そうだよ。なんか、結構遠くまで範囲広げてて、雑魚からリーダー格に至るまで見境無くぶっとばしてるみたいよ?目が合っただけ、とかなんとかいちゃもんつけて。連日だからちょっとした有名人になってんよ。」
ーやっぱりあれは返り血か。
崇からの情報に、予測を確信に変える。
「…へぇ。なんかあったのかな。」
敢えて興味なさげに呟けば、崇がオーバーに肩を落とした。
「相変わらず燈真は淡々としてんなぁ。ただ単にむしゃくしゃしてただけじゃねぇの?」
俺は一口、吸い込んでから。
「…アオは、そんな単純に感情を表せる人間だったっけ。」
天井に向かって吐き出した煙の中に、目を凝らした。