Live as if you will die tomorrow
扉が開いた途端、捨てられた猫のような空生は、我が物顔でするりと中に入り、階段を上って行く。



ー大分慣れたな。



その後ろ姿を、その場に立ち止まって一度見送った。


二階のスタッフルームの戸が、パタンと閉まる音がしてから、さて、と暫し考え込む。

ー昨晩はどこで何をしていたんだろう。


詳細はわからないが、空生は相当疲れ切っているように見えた。




ーそりゃそうか。


元々不眠症の気が有る空生が、休み場も無く、宿した虚しさを、他者にぶつけている毎日を送っているのだ。疲れない訳がない。











「空生」




何食わぬ顔して、スタッフルームの中に入ると、空生は、ソファに仰向けに横になっていた。

瞼は開いているが、反応は無い。


慎重に、慌てずに、ゆっくりと。



距離を縮める。



そしてー




「…空生さ、制服置きっぱなしだけど、いいの?」



さも、今急にそう思ったかのような口ぶりで、毎日の様に見続けていた制服の入った袋を差し出した。



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