Live as if you will die tomorrow
どこにも焦点の合っていない瞳が、ゆらりと向けられて。
「もう要らない。捨てといて。」
直ぐに外される。
「要らない、って…お前まだ卒業してないだろ?就活はどうしたよ?」
答えたくない、訊いてくれるな。そう代弁しているかのような、沈黙。
ー止めたのか。
「ここんとこ、お前変だぜ?どっかにふらふらと出て行ったと思ったら血だらけで帰ってきたり。どうしたんだよ?」
ー真っ直ぐに、前を見て、生きるのを、止めたのか。
「…燈真さ、俺のこと、知ってる?」
ふいに、天井を仰いだまま、空生が訊ねる。
「…何言ってんの、今更。当たり前だろ。」
「そうじゃなくて」
それが、何に対してのことかはよく理解していたが、敢えてとぼけて見せた俺に、珍しく空生が苛立った口調でソファから起き上がった。
「俺の事、ネットかなんかで調べたこと、ある?」
一瞬その表情に、自分が見透かされているような気になったのだが、反対だと言うことに気付いた。
ー見える。
空生の、感情が、見える。