Live as if you will die tomorrow
今まで感情を全くと言っていい程、表に出さなかった空生が。
今、俺の目の前で、その内側を無意識に曝け出している。
ーもう、飼えるね。
お前は。
俺と同じ匂いがする。
「何の事だよ?お前、そんなに有名人なわけ?」
からかうような口調で訊き返せば、空生はほんの少し、罰の悪そうな顔をして、黙り込む。
やがて。
「俺の母親さ、死んでんのは知ってたんだけどー殺されたらしいんだよね。しかも、同棲してた男に。結構でかい事件だったらしくて。」
意を決したように、捲し立てる空生が、痛々しく笑んだように見えた。
まるで自分を。
自分の過去を、嘲笑するように。
「詳しく調べる気なんか、俺には更々ないんだけど。周りは調べんのな。ま、当たり前か。得体の知れない人間なんか、雇わねーよな。」
社会が受け入れなかった、というより。
それ以前の問題で。
自分の居場所なんてものは、そもそも最初から取り分けられていなかった、という事実を、空生は知ったのだ。
「俺、生きてる意味、あんのかな。」
自分には価値が無いことを、再度突きつけられたのだ。
今までも何度だって、それをなんとか否定してきて。やっと、ここまで辿り着いたのに。