mariage~酒と肴、それから恋~《2》
―――うちで?

百田の家で?ってこと??


戸惑って無言になったら、

「佐藤の家でも良いけど」と百田は続けた。


しんと静まった。


何この空気!


「……大丈夫大丈夫!一人でも意外とペロッと食べれちゃうよ。缶小さいし!」


妙な空気を打ち消すように大きな声を出すと、百田は脱力したような笑みを浮かべた。


「すぐはぐらかすんだな」


「――え?」

胸の中がザワザワと強く騒ぎ出した。

「はぐらかすって何を?」


「佐藤、覚えてない?昔、今日みたいに二人で残業してたとき、終電なくなって、『泊まろうか』って誘ったこと。あん時もはぐらかされたなぁ~って」


百田も覚えてたの?


硬直してしまった。

あたしも覚えてるって答えたようなものだ。

「……だって、彼女いたじゃん。そんな人と泊まったりできないじゃん」


「いなかったって言ったじゃん」


「…聞いたの今だし」


「今もいない。佐藤もいないんだろ、彼氏」


「何で、わかるの」


「リサーチ済みだもん。俺を誰だと思ってんの。情報収集は営業の基本」
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