沈黙の境界線
その光景を目の当たりにした時に自分の中で何かが音をたてて崩れ落ちていくのを感じた。
高校卒業後は看護の専門に進めと両親に言われて嫌な勉強を頑張っていた。
友達の誘いを断って塾に通っていた。
私の成績がなかなか上がらないのを心配してくれていた塾の先生・・・
あの講師なら信頼できると喜んでいた母親の心の内は・・・?
私が殺されそうになった塾の帰り道
この顔がこれほどまでに形を変えるまで殴られ続けたあの時
この腕に刃物を突き立てられ、気が狂うような痛みに死の恐怖を感じたあの瞬間
お母さんは
誰の事を考えていたの・・・?
自分に親い全ての人間が
まるで、自分を襲ったあの凶悪犯と同じように感じた時
奈落の底に通じるブラックホールに抵抗もできずに吸い込まれていくようだった。