沈黙の境界線
殴られた衝撃で倒れこんだ私の腹の上に、
大きな化け物が覆い被さる。
街灯の光を背にしたあの影が私には人間のようには思えなかった。
何度も降り下ろされる拳に
何度も意識が飛びそうになる。
叫んでいたかも分からない。
まるで息を殺しているかのように
世界には音がなかった。
気付けば病院のベッドの上。
訳も分からないまま
警察に話を聞かれた。
頭の中が混乱していて
何が先だったのか
何が後だったかも分からない。
ただ覚えているのは
つけていたテレビのニュースが突然私の事件を流したことだ。
病院のベッドの上
逮捕された15歳の少年のむしゃくしゃはらいせに自分がこんな思いをさそられた事を知った。