沈黙の境界線
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コンコンッ
「入るわよ?」
ノック音と同時にお母さんの声が聞こえて、慌ててパソコンの画面を切り替える。
「どうぞ?」と言い終わる前に部屋の戸が開いて、めかしこんでいるお母さんが顔をだした。
「・・・どっか行ってたの?」
ぶっきらぼうに聞くと、お母さんは何も言わずに暫く、パソコンチェアに座る私の顔を見つめたあと、小さなため息を一つついてベッド脇に腰をかけた。
すると、嫌な事に視界の高さは平行になり、憂鬱そうなお母さんの眼差しが間近に見えた。
「退学の手続きが終わったわよ。
・・・本当に後悔はないの?
外に出歩くのが恐いのなら、車があるんだし、送り迎えくらいしてあげたのに・・・」
呟く母親の言葉は全く私の気持ちの的を射てはいない。
まるで、ただ単に投稿拒否をしているような言い草が堪に触る。