不良探偵
と。

「あの…」

耕介に、我妻の娘が声をかけてきた。

…男に拉致され、監禁生活を送らされていたという娘。

今でも父親以外の男性には、恐怖心があるらしい。

それでも。

「…お父さんの…友達ですか…?」

年齢に比べて幼さの残る声で、娘は耕介に話しかける。

「…お父さんと同じ…警察の人ですか…?」

「い、いや、俺は…」

言いよどむ耕介。

彼は我妻の友人でも、警察官でもない。

只の探偵だ。

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