不良探偵
それでも。

「…お願いします…」

真っ直ぐな真摯な瞳で。

曇りのない澄んだ瞳で。

娘は耕介の顔を真正面から見た。

「お願いします…お父さんの…お父さんの仇…討ってあげて下さい…」

娘は見ず知らずの耕介に向かって言う。

友人でもない、同じ警察官でもない耕介に。

本当は、まだ赤の他人の男性は怖い筈なのに。

それでも勇気を振り絞って言う。

「優しいお父さんなんです…私の事いつも心配してくれて…大好きなお父さんなんです…」

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