ナイショの恋人は副社長!?
「そういう方ならば、初めから、もっと自己中心的に動いていると思います。少なくとも、兄であるヴォルフ氏を立てていたあなたからは、そういう部分は見受けられなかった」
その言葉もまた、嘘や社交辞令ではないのだとドリスは感じると、きゅっと唇を噛みしめて目を伏せる。
そして、涙を堪え、「ふ」と僅かに笑いを零した。
「……狡いわ。そうやって、また人の心を惹きつけることを言って」
ドリスが言うと、敦志は申し訳なさそうな顔をして俯く。
その敦志の様子から、改めて正直な人だと感じると、ドリスは清々しい気持ちになれた。
敦志を見つめていたドリスが、ふと、思い出して声を上げる。
「そうだ。悠長にしていられないわ! 今日は、ユウコとお約束してるのよね?」
「えっ?」
「ごめんなさい。ヴォルフから聞いて。急いでユウコに連絡してみた方がいいかもしれない」
ドリスの話で、空気が一変する。目を見開いた敦志は、緊迫した様子で携帯を取り出し、耳にあてた。
(まさか、社内から彼女を連れ出したのか? 油断した!)
焦りを滲ませた目で、優子の応答を待つが一向に出る気配がない。
それでも電話を切らず、コール音を耳にしている敦志に、ドリスが声を掛ける。
「たぶん、私たちが宿泊してるホテルにいるはず。ヴォルフも、トーキョーに慣れていなかったはずだから」
敦志はそれを聞くや否や携帯を一度耳から外し、勢いよくドアを開け放つ。
ドリスはその背中を切ない笑顔を浮かべて見送っていると、急いでいる敦志の足が不意に止まった。
目を丸くしていたドリスを振り返り、笑顔を向ける。
「ありがとう!」
その笑顔は、今までのビジネス上で見てきたものとは全く違うもの。
廊下に出たドリスは、すでに敦志の姿が見えなくなった方向を見つめ、呟いた。
「そういう顔を、もっと見たかったわ……」
その言葉もまた、嘘や社交辞令ではないのだとドリスは感じると、きゅっと唇を噛みしめて目を伏せる。
そして、涙を堪え、「ふ」と僅かに笑いを零した。
「……狡いわ。そうやって、また人の心を惹きつけることを言って」
ドリスが言うと、敦志は申し訳なさそうな顔をして俯く。
その敦志の様子から、改めて正直な人だと感じると、ドリスは清々しい気持ちになれた。
敦志を見つめていたドリスが、ふと、思い出して声を上げる。
「そうだ。悠長にしていられないわ! 今日は、ユウコとお約束してるのよね?」
「えっ?」
「ごめんなさい。ヴォルフから聞いて。急いでユウコに連絡してみた方がいいかもしれない」
ドリスの話で、空気が一変する。目を見開いた敦志は、緊迫した様子で携帯を取り出し、耳にあてた。
(まさか、社内から彼女を連れ出したのか? 油断した!)
焦りを滲ませた目で、優子の応答を待つが一向に出る気配がない。
それでも電話を切らず、コール音を耳にしている敦志に、ドリスが声を掛ける。
「たぶん、私たちが宿泊してるホテルにいるはず。ヴォルフも、トーキョーに慣れていなかったはずだから」
敦志はそれを聞くや否や携帯を一度耳から外し、勢いよくドアを開け放つ。
ドリスはその背中を切ない笑顔を浮かべて見送っていると、急いでいる敦志の足が不意に止まった。
目を丸くしていたドリスを振り返り、笑顔を向ける。
「ありがとう!」
その笑顔は、今までのビジネス上で見てきたものとは全く違うもの。
廊下に出たドリスは、すでに敦志の姿が見えなくなった方向を見つめ、呟いた。
「そういう顔を、もっと見たかったわ……」