ナイショの恋人は副社長!?
柔らかく目を細める優子を、ヴォルフはその青い目を見開いて見た。
ヴォルフは、小柄な優子が強く逞しく見えて驚愕する。
体格差は自分と比べて一目瞭然なのに、その威圧感で押しやられてしまいそうな錯覚に陥るほどだ。
大抵の日本人女性は、シャイで目を見ることもせず、俯き、口を噤んでしまうものだと思っていた。
「日本の女性は奥ゆかしく、男の後ろを付いて歩くと聞いていたが」
それがどうだろう。身体は確かに小さいのに、男のヴォルフよりも大きく見える程堂々としていた。
さらに、その漆黒の瞳はぶれることなくヴォルフを射る。
ヴォルフは、降参したとばかりに目を伏せ、小さく首を横に振った。
「どうやら、藤堂の下で働く女性はしっかりとした意思をお持ちのようだ」
そして、再度、青い瞳を露わにした時には、愉し気に口元を緩ませる。
その時、ヴォルフの優子を見る目が変わったのに、敦志とドリスは気づいた。
そこへ、先刻、慌ただしく出て行った従業員がやってくる。
「お待たせして申し訳ありません。お客様、お怪我はありませんでしたか? 先におうかがいしなければならないことを、動揺して……申し訳ございません」
深々と頭を下げる従業員に、優子は優しい声色を落とした。
「いいえ。大丈夫です。どうか、気になさらないでくださいね」