ナイショの恋人は副社長!?

「でも……服やお花まで頂いたのに」
「それも、オレが贈りたくてしたものだ」
 
今でも、それらを受け取るべきではないと思っているけれど、それをヴォルフにつき返すわけにもいかない。

隣の席に置いたアヴェク・トワの紙袋を見つめ、落ち着かない気持ちを抱える。
その横にある花束にも視線を移すと、小さな溜息を吐いた。

「日本を発つのは三日後。藤堂との約束のほかに、市場調査も兼ねてとはいえ、正直初めは滞在日数が長いと憂鬱だった。でも、今では短く感じるよ」
「お仕事ですもんね。そのスケジュールだと、お休み返上なんじゃないですか?」
「そう。だから、今回の出張は気が重い部分もあったんだけどね」
 
グラスを照明に透かしてカクテルの色を眺めながら、ヴォルフが苦笑する。
その横顔を優子は見ていると、不意にカクテルよりも綺麗なブルーの瞳がこちらを向いてドキッとした。

透き通るような目に映し出された自分を、瞬きもせずに見つめる。
 
すると、ヴォルフが真剣な顔つきに変わった。

「ユウコと会えたから、そんなの全部吹き飛んだ」
 
そうして、ごく自然に優子の手を握る。

「今や俺には時間がないから、ストレートに言うよ。ユウコ、俺の恋人になってくれないかな」
「こ、恋人……って」
 
好意を持たれているのはわかっていた。
けれど、まさかそれが恋人に向けるような本気のものだとまでは考えていなかったから、優子は戸惑いを隠せない。

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