ナイショの恋人は副社長!?
*
翌日は、敦志も優子と同じような悩みを抱えつつ、時間が過ぎていた。
朝からずっと部屋に籠りっぱなしで仕事をしていると、余計なことを考えてしまう。
敦志は頬杖をついていた手をデスクから下ろし、ギィッと椅子に背を預ける。
腕時計を見ると、もう夕方の五時を過ぎていた。
昼の休憩もまともに取らずにいた敦志は、気分転換にと部屋を出る。
すると、ちょうど社長室から純一と芹沢が出てきて、敦志は背筋を伸ばした。
「お疲れ様です。どちらへ?」
立ち止まることをしない純一に合わせ、敦志も共に歩きながら尋ねる。
純一は、進行方向を見たまま、淡々と答えた。
「今日は、これから東海林さんに会う約束をしている」
「ああ。社長は社の担当会計士よりも、本当に東海林さんを信頼してるんですね。いっそ、担当して頂けるようにお願いしてみては?」
「……いつもアッサリ断られる。企業は相手にしたくないらしい」
「なるほど。それでも、いつも都合をつけてお会いしてくれるのですから、社長と同じで、本当は優しい方なんでしょうね」
「〝本当は〟は余計だ」
エレベーターホールに着く間に、テンポよく会話が交わされる。
芹沢がボタンを押すと、すぐにエレベーターの扉が開き、純一はそれに乗り込んだ。
「昨日は遅くまで付き合ってたんだろう。今日は早く帰れ、敦志」
エレベーター内で踵を返した純一が、敦志と向き合ってそう言った。
「いえ、でもまだ残件が」
「お前のことだ。急ぎのものはもうないんだろ。たまには、早く帰って喜ばせてやれ」
純一は敦志の言い分を却下するように言葉を被せると、落としていた視線をふっと上げた。
そして、敦志へ僅かに微笑みかける。
「家に帰って加奈子さんの手料理が待っているなんて、敦志は幸せだな」
純一がそう言い残すと同時に、エレベーターの扉が閉まってしまった。
「……純一くんは、本当に優しいよ」
独り言を漏らし、しばらくエレベーターを見つめる。
その後に、敦志が方向転換した際、エレベーターの奥の通路で影が動いた気がして敦志は眉を顰めた。
「……誰かそこにいるんですか?」
翌日は、敦志も優子と同じような悩みを抱えつつ、時間が過ぎていた。
朝からずっと部屋に籠りっぱなしで仕事をしていると、余計なことを考えてしまう。
敦志は頬杖をついていた手をデスクから下ろし、ギィッと椅子に背を預ける。
腕時計を見ると、もう夕方の五時を過ぎていた。
昼の休憩もまともに取らずにいた敦志は、気分転換にと部屋を出る。
すると、ちょうど社長室から純一と芹沢が出てきて、敦志は背筋を伸ばした。
「お疲れ様です。どちらへ?」
立ち止まることをしない純一に合わせ、敦志も共に歩きながら尋ねる。
純一は、進行方向を見たまま、淡々と答えた。
「今日は、これから東海林さんに会う約束をしている」
「ああ。社長は社の担当会計士よりも、本当に東海林さんを信頼してるんですね。いっそ、担当して頂けるようにお願いしてみては?」
「……いつもアッサリ断られる。企業は相手にしたくないらしい」
「なるほど。それでも、いつも都合をつけてお会いしてくれるのですから、社長と同じで、本当は優しい方なんでしょうね」
「〝本当は〟は余計だ」
エレベーターホールに着く間に、テンポよく会話が交わされる。
芹沢がボタンを押すと、すぐにエレベーターの扉が開き、純一はそれに乗り込んだ。
「昨日は遅くまで付き合ってたんだろう。今日は早く帰れ、敦志」
エレベーター内で踵を返した純一が、敦志と向き合ってそう言った。
「いえ、でもまだ残件が」
「お前のことだ。急ぎのものはもうないんだろ。たまには、早く帰って喜ばせてやれ」
純一は敦志の言い分を却下するように言葉を被せると、落としていた視線をふっと上げた。
そして、敦志へ僅かに微笑みかける。
「家に帰って加奈子さんの手料理が待っているなんて、敦志は幸せだな」
純一がそう言い残すと同時に、エレベーターの扉が閉まってしまった。
「……純一くんは、本当に優しいよ」
独り言を漏らし、しばらくエレベーターを見つめる。
その後に、敦志が方向転換した際、エレベーターの奥の通路で影が動いた気がして敦志は眉を顰めた。
「……誰かそこにいるんですか?」