ナイショの恋人は副社長!?
*
席を外していた敦志は、血相を変えてドリスの待つ副社長室へと戻る。
「すみません! 私、急用が出来まして」
常に紳士的な対応をするはずの敦志が、明らかに慌てている様子にドリスは目を丸くする。
ソファに座るドリスは、責めるわけでもなく、落ち着いた声色で尋ねる。
「お仕事関係で何か?」
「いえ……」
「……女性、とか?」
「……本当に申し訳ありません。改めて、必ず時間を取りますので」
奥歯に物が挟まるような答え方の敦志に、ドリスは不穏な空気を感じる。
しかし、それ以上は何も聞かせないような敦志の態度に、仕方なくその場を後にした。
ドリスがタクシーに乗り込むのを見送り、敦志はすぐさま駆け出していた。
優子の携帯を使うだなんて、普通では考えられないことだ。
しかも、相手は強引だと言われるヴォルフ。冷静になど、いられるわけがない。
敦志は急くまま、優子に初めて声を掛けた駅へと向かう。しかし、優子の姿は見当たらない。
(ちくしょう……! せめてどの辺かわかれば……、ヴォルフの容姿なら探しやすかったのに!)
ギリッと奥歯を噛み、すぐ側の電柱に、拳を一度打ち付ける。
右手の痛みも感じる間もなく、ハッと思い立って携帯を取り出した。
(ダメ元で、もう一度掛けてみよう)
手早くロックを解除し、先程着信があった番号へと折り返し掛けなおす。
コール音を期待していたが、電源が入っていない旨のガイダンスに、敦志の眉間の皺は深くなっていく。
険しい顔のまま、敦志は次にヴォルフの携帯に電話を掛ける。
しかし、もちろんそれにヴォルフが出るはずもなく――。
「……くそっ」
八方塞がりになった敦志は、悪態をついて唇を噛んだ。必死に頭を回転させ、どうしたらいいかを考える。
(ダメだ。知らないことが多すぎる)
席を外していた敦志は、血相を変えてドリスの待つ副社長室へと戻る。
「すみません! 私、急用が出来まして」
常に紳士的な対応をするはずの敦志が、明らかに慌てている様子にドリスは目を丸くする。
ソファに座るドリスは、責めるわけでもなく、落ち着いた声色で尋ねる。
「お仕事関係で何か?」
「いえ……」
「……女性、とか?」
「……本当に申し訳ありません。改めて、必ず時間を取りますので」
奥歯に物が挟まるような答え方の敦志に、ドリスは不穏な空気を感じる。
しかし、それ以上は何も聞かせないような敦志の態度に、仕方なくその場を後にした。
ドリスがタクシーに乗り込むのを見送り、敦志はすぐさま駆け出していた。
優子の携帯を使うだなんて、普通では考えられないことだ。
しかも、相手は強引だと言われるヴォルフ。冷静になど、いられるわけがない。
敦志は急くまま、優子に初めて声を掛けた駅へと向かう。しかし、優子の姿は見当たらない。
(ちくしょう……! せめてどの辺かわかれば……、ヴォルフの容姿なら探しやすかったのに!)
ギリッと奥歯を噛み、すぐ側の電柱に、拳を一度打ち付ける。
右手の痛みも感じる間もなく、ハッと思い立って携帯を取り出した。
(ダメ元で、もう一度掛けてみよう)
手早くロックを解除し、先程着信があった番号へと折り返し掛けなおす。
コール音を期待していたが、電源が入っていない旨のガイダンスに、敦志の眉間の皺は深くなっていく。
険しい顔のまま、敦志は次にヴォルフの携帯に電話を掛ける。
しかし、もちろんそれにヴォルフが出るはずもなく――。
「……くそっ」
八方塞がりになった敦志は、悪態をついて唇を噛んだ。必死に頭を回転させ、どうしたらいいかを考える。
(ダメだ。知らないことが多すぎる)