ナイショの恋人は副社長!?
「……ドリスさんは?」
「ドリスも店で合流するよ。でも、ドリスがちゃんと店に着けるか心配で。悪いけど、ユウコがナビゲーションしてくれる? 先に行こう」
ヴォルフは携帯をしまい、腕時計に視線を落として言う。
優子は迷いながらも、一定の距離を保って後をついていった。
タクシーに乗り込むと同時に、ヴォルフは携帯を耳にあてる。
「ああ、ドリス? 計画通り、ユウコと向かってるよ。そっちは?」
会話の内容から、相手がドリスなのだとわかると、ヴォルフの言うことは本当だったのだとホッと胸を撫で下ろした。
走り出すタクシーから外を眺め、電話を終えたヴォルフに優子が尋ねる。
「どのあたりのお店なんですか? ドリスさんは無事着けそうですか?」
「ドリスもそろそろかな……」
ヴォルフは小さく笑って答えると、その後、珍しく無言でいた。
沈黙の車内は少し重苦しく感じた優子だが、気にしないようにと景色を眺め続けていた。
それから十数分経った時、タクシーが停まった。降車した優子は、辺りを見回し、目を丸くする。
そこは、都内でも有名なホテル。
優子は窓越しにロビーを見つめ、上層部ではこういうところで食事をしながら商談をするのが普通なのだ、と驚いていた。
「ユウコ。どうかした?」
「あ、いえ。このホテル、有名で知ってはいるのですが、訪れたのは初めてで……」
「そうなんだ。だったら、部屋も見てみるかい?」
「え?」
ヴォルフの返答に、優子は固まってしまう。
「日本に滞在中、ここを利用してる」
ホテルを見上げながらサラリと言うヴォルフの言葉に、優子の表情はみるみる不安なものへと変わっていく。
(ヴォルフさんが滞在してるってことは、普通に考えたらドリスさんもだよね? だったら、心配することなんかなさそうなものだけど……)
猜疑心を浮かべた眼差しをヴォルフに向けた時、優子のカバンから着信を知らせる音が鳴る。
ハッとして優子が急いでカバンから携帯を取り出すと、ひょいとヴォルフに横取りされてしまう。
「なっ……!」
まさか二度も同じようなことをされるだなんて思いもしなかった優子は、あまりの衝撃に言葉が続かない。
ただ、ヴォルフを凝視していると、今なお鳴り続ける携帯を冷静に見つめたヴォルフが「ふ」と笑った。
「電話(コレ)は、〝仕事の話〟の邪魔だから」
妖艶にも見えるヴォルフの微笑みに、優子は焦燥感を抱いた。
「ドリスも店で合流するよ。でも、ドリスがちゃんと店に着けるか心配で。悪いけど、ユウコがナビゲーションしてくれる? 先に行こう」
ヴォルフは携帯をしまい、腕時計に視線を落として言う。
優子は迷いながらも、一定の距離を保って後をついていった。
タクシーに乗り込むと同時に、ヴォルフは携帯を耳にあてる。
「ああ、ドリス? 計画通り、ユウコと向かってるよ。そっちは?」
会話の内容から、相手がドリスなのだとわかると、ヴォルフの言うことは本当だったのだとホッと胸を撫で下ろした。
走り出すタクシーから外を眺め、電話を終えたヴォルフに優子が尋ねる。
「どのあたりのお店なんですか? ドリスさんは無事着けそうですか?」
「ドリスもそろそろかな……」
ヴォルフは小さく笑って答えると、その後、珍しく無言でいた。
沈黙の車内は少し重苦しく感じた優子だが、気にしないようにと景色を眺め続けていた。
それから十数分経った時、タクシーが停まった。降車した優子は、辺りを見回し、目を丸くする。
そこは、都内でも有名なホテル。
優子は窓越しにロビーを見つめ、上層部ではこういうところで食事をしながら商談をするのが普通なのだ、と驚いていた。
「ユウコ。どうかした?」
「あ、いえ。このホテル、有名で知ってはいるのですが、訪れたのは初めてで……」
「そうなんだ。だったら、部屋も見てみるかい?」
「え?」
ヴォルフの返答に、優子は固まってしまう。
「日本に滞在中、ここを利用してる」
ホテルを見上げながらサラリと言うヴォルフの言葉に、優子の表情はみるみる不安なものへと変わっていく。
(ヴォルフさんが滞在してるってことは、普通に考えたらドリスさんもだよね? だったら、心配することなんかなさそうなものだけど……)
猜疑心を浮かべた眼差しをヴォルフに向けた時、優子のカバンから着信を知らせる音が鳴る。
ハッとして優子が急いでカバンから携帯を取り出すと、ひょいとヴォルフに横取りされてしまう。
「なっ……!」
まさか二度も同じようなことをされるだなんて思いもしなかった優子は、あまりの衝撃に言葉が続かない。
ただ、ヴォルフを凝視していると、今なお鳴り続ける携帯を冷静に見つめたヴォルフが「ふ」と笑った。
「電話(コレ)は、〝仕事の話〟の邪魔だから」
妖艶にも見えるヴォルフの微笑みに、優子は焦燥感を抱いた。