ナイショの恋人は副社長!?
*
ヴォルフからの電話を終えた直後、ドリスは大きく息を吸った。
それから、目の前の頑丈そうなドアに手の甲を打ち付ける。
「どうぞ」
ドアの向こう側から返事が聞こえると、ゆっくりと引き開け中を覗いた。
そこには、ちょうどデスクを片付け終える様子の敦志が席に着いていた。
「Hallo.お仕事終わったかしら?」
「Frau Doris! なにかありましたか?」
敦志はドリスの突然の訪問に目を瞬かせ、スッと席を立つ。
敦志に尋ねられたドリスは、ヴォルフに言われたことを思い出していた。
――『やれることはやりきるよ』
それを口にしていた時のヴォルフ(兄)は、怖いとさえ感じてしまったが、時間が経った今では、それに多少感化されている自分がいた。
時間がなく、脈もなさそうな現状で敦志を振り向かせることは困難だ。
それでも、可能性がゼロではないのなら……。
ドリスはヴォルフに背を押される形で、今、敦志の前に立っていた。
「……あなたに会いたくて」
ぽつりと吐露した告白に、敦志は目を大きくする。
どこか焦るように、早々に気持ちを伝えた理由は、ヴォルフの言葉にあった。
先刻まで一緒にいた際に、『サオトメはユウコが気になっているはず』と示唆されていたのだ。
とはいえ、ヴォルフのように強引になりきれず、自信もないドリスは強張った表情で視線を逸らす。
そんなドリスの姿に、敦志はきゅっと唇を引き結んだ。そして、真っ直ぐドリスと向き合うと、頭を下げる。
「Erlauben Sie es bitte bitte.(申し訳ありません)」
ヴォルフからの電話を終えた直後、ドリスは大きく息を吸った。
それから、目の前の頑丈そうなドアに手の甲を打ち付ける。
「どうぞ」
ドアの向こう側から返事が聞こえると、ゆっくりと引き開け中を覗いた。
そこには、ちょうどデスクを片付け終える様子の敦志が席に着いていた。
「Hallo.お仕事終わったかしら?」
「Frau Doris! なにかありましたか?」
敦志はドリスの突然の訪問に目を瞬かせ、スッと席を立つ。
敦志に尋ねられたドリスは、ヴォルフに言われたことを思い出していた。
――『やれることはやりきるよ』
それを口にしていた時のヴォルフ(兄)は、怖いとさえ感じてしまったが、時間が経った今では、それに多少感化されている自分がいた。
時間がなく、脈もなさそうな現状で敦志を振り向かせることは困難だ。
それでも、可能性がゼロではないのなら……。
ドリスはヴォルフに背を押される形で、今、敦志の前に立っていた。
「……あなたに会いたくて」
ぽつりと吐露した告白に、敦志は目を大きくする。
どこか焦るように、早々に気持ちを伝えた理由は、ヴォルフの言葉にあった。
先刻まで一緒にいた際に、『サオトメはユウコが気になっているはず』と示唆されていたのだ。
とはいえ、ヴォルフのように強引になりきれず、自信もないドリスは強張った表情で視線を逸らす。
そんなドリスの姿に、敦志はきゅっと唇を引き結んだ。そして、真っ直ぐドリスと向き合うと、頭を下げる。
「Erlauben Sie es bitte bitte.(申し訳ありません)」