過保護な彼に愛されすぎてます。
「郁巳くんのファンの子だったんだ……」
家まで調べてつきとめてるなんて怖いなと思う。
郁巳くんは実害がないから、みたいなことを言っていたけど……安心して暮らせないのは可哀想だ。
「マンション前で私も視線感じるなって思ってたけど……そっか」
そうつぶやくと、郁巳くんは驚いたように目を見開き立ち止まる。
そして私の肩をグッと掴んだ。
「まさか、奈央ちゃんなにかされたりしたんじゃ……」
肩を掴む力の強さに驚く。
心配から顔を歪める郁巳くんに、すぐに首を振った。
「う、ううん。なにも。ただ、視線を感じるなって思ってただけだから大丈夫」
笑顔を作って言うと、郁巳くんがホッと力を抜いたのがわかった。
そして安心したように「それならよかった」と息をつく
「変な手紙って、ファンレターみたいなのじゃなくて?」
郁巳くんが私の背中を軽く押して、歩くようにうながすから、足を進めながら聞く。
向かおうとしている二軒目の雑貨屋さんは、駅から反対の方向にあるから、駅を背中に向けて歩く。
駅から離れるにつれて、人通りも、少し減る。
「ファンレターって言えばファンレターかな。
CMの何秒経ったときの顔がよかっただとか、自転車から転がったとき、Tシャツがめくれて腹チラしててドキドキしたとか、何月何日にどこどこの店でパスタ食べてましたよね、とか。
ファンレターなんだけど、若干ストーカーめいた感じ」
そう説明する郁巳くんの声には疲れみたいなものが滲んで見えた。
いつもよりも声が沈んでる。