過保護な彼に愛されすぎてます。
でも……当たり前だ。
だって、自分の行動を監視されているなんて誰だって気持ち悪いし、それに……郁巳くんは、過去、それで嫌な思いをたくさんしてきている。
知らないおじさんに連れ去られそうになったり、捨てたゴミを拾われたり。
勝手に写真を撮られて、おかしな風に加工されたり。
それは今も、郁巳くんのなかに心の傷として残っている。
そのせいで、たまにおかしな雰囲気をかもしだしてるっていうのに、また、郁巳くんにトラウマを植え付けるようなこと――。
考えているうちにイライラしてしまい、チラッと背後を振り向いたとき。
こちらをじっと見ている人と目が合った。
距離にして、十メートルもない場所で、犯人だと思われる人は、ギクリとした顔をして背中を向ける。
それを見て、犯人だと直感した。
その全部が、スローモーションに見えた。
「ゴミとか荒らし出したら警察に相談するのもありかなーって思ってるけど、今の段階じゃ、そこまでの被害もないし――」
なにか話している郁巳くんを置いて、犯人を追うために走り出す。
咄嗟の判断だったから、逃げ出そうとする犯人と捕まえようとする私、スタートはほぼ同時だった。
だから勝ち目はある。県大会でいいところまでいったのは事実なんだから!
通行人を避けるようにして逃げていく犯人を、私も同じルートで追いかける。
うしろから「奈央ちゃん……っ?!」と驚いた声が追ってきたけれど、そんなの無視だ。
「え……っ、不破郁巳……?!」
「ええっ、すごいファンなんだけど!」
郁巳くんが大きな声を上げて視線を集めてしまったせいで、気付かれて周りを囲まれてたっぽけど、それも無視だ。