過保護な彼に愛されすぎてます。


ローヒールのパンプスにしてよかったと思う。

犯人は、私をまくためか、かなり細かく角を曲がっていく。
いくつかの角を曲がりながらも距離を縮めたとき、犯人が細い路地を曲がった。

小さな公園と古い図書館のような建物の間にある、細い路地。
そこを追いかけるようにして曲がり……足を止める。

その先には自転車がたくさん止まっていて、犯人が足止めを食らっていたから。

立ち止まると同時に、急に呼吸が苦しくなり、足元がふらついてしまう。
脳に酸素がいっていないみたいで、頭までクラクラしだす。

やっぱり、郁巳くんみたいにそれなりに運動していないとダメだな……と身を持って思いながら、焦った顔で私を見る犯人を見据えた。

それから……直感に従っちゃったけど、本当にこの人でいいのかな、と疑問が浮かびしばらく悩む。

ファンなんて言うから女の子かなって勝手に思っていたけれど、追いつめた犯人は男の人だった。
たぶん、同じ歳くらいだ。

黒いTシャツにジーンズ、そして頭にはキャップをかぶった男の人が、表情に焦りを残したまま睨みつけてくる。

大通りから、いくつも角を曲がり、入った細い路地。
日当たりも悪く、人通りはなかった。

華奢な男の人は、はぁはぁと息を切らせている。
私と同じくらいの体力しかないらしい。

「あの、郁巳くんを、追い回すの、やめてください……」

呼吸が整わないせいで、言葉が途切れ途切れになっていた。

急に走るな、と文句を言ってるみたいにバクバクとうるさい心臓。
短い呼吸で酸素を吸い込みながら見つめる先で、犯人はきつく私を睨みつける。


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