過保護な彼に愛されすぎてます。


「おまえ、こそ……不破さんの周りをうろつくの、やめろよな……っ」
「うろ……」

膝に手をつき、息を切らせながら言う犯人が、私と同じように速い呼吸を繰り返す。
おたがい、へろへろだった。

うろつく……うろついているのは、むしろ郁巳くんの方だと思いながらも、そうとは言えずに黙っていると、犯人が続ける。
呼吸はだいぶ戻っていた。

「目障りなんだよっ、おまえ! 当たり前みたいな顔して不破さんの隣にいて……不破さんは、おまえみたいな女が簡単に近づいていい人じゃない! あの人の周りは、キラキラしてなきゃいけないんだ……っ」

高校のころも似たようなことを言われたなぁと思う。

この人は、郁巳くんの相当なファンなのかもしれない。
だけど……たぶん、度を超してる。

だって、この人は郁巳くんにあんな顔をさせて、沈んだ声を出させた。

『若干ストーカーめいた感じ』
そう言っていたときの横顔と声のトーンが頭の中に浮かび、苛立ちが蘇る。

「郁巳くんは、たしかにキラキラした世界が似合います。それを、あなたが望むのもわかる。でも、だったらなんで、郁巳くんの表情が暗くなっちゃうような手紙を出して、追い回すんですか?」

やっと落ち着いた呼吸。
淡々と告げると、犯人はギッときつく奥歯を噛みしめ、私を睨みつけた。

遠くからはザワザワと人の声がするのに、ここは静かで、それが少し怖い。

だけど、逃げだそうだとか、そんなことは思わなかった。
郁巳くんのトラウマに触れたことが、自分でも不思議になるほど許せなかった。


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